【なごやラボだより】クラゲとレジ袋
資源プラ協会なごやラボを担当させて頂いています理事の本堀です。だいぶ暖かくなってきましたね。
さて、資源プラ協会では「資源プラ」というコンセプトをテコにプラスチックリサイクルの更なる発展を目指し、特に私が担当する「なごやラボ」ではプラスチックに関する様々な技術的な課題に取り組んでいます。
その中の一つが、「自然環境に逸出したプラスチックの影響調査と解決方法の研究」です。
逸出したプラスチックが生態系をはじめとする自然環境へ何らかの影響を及ぼしている事は明らかです。
下の写真をご覧下さい。
これはなごやラボで行っている海洋プラ調査の折に撮影したもので、水中を漂うクラゲと白いレジ袋を並べて撮影したものです。
見分けがつきませんね。かろうじてクラゲ(ミズクラゲ)の4個の生殖腺が確認できることからクラゲである事が分かりますが、ホントにそっくりです。
資源プラ協会の理事会でもこの写真を報告させて頂きましたが、理事の皆様も見分けがつかないと仰っておられました。
レジ袋をクラゲと間違えてウミガメが食べてしまうという話がマスメディアで伝えられていましたが、真偽はともかく、これではプラスチックが社会から白い目で見られても仕方ありませんね。
プラスチックが現れて150年余り、今やプラスチックは我々の生活の隅々に至るまで浸透し、大きな恵みをもたらしています。近代文明はプラスチックに支えられていると言っても過言では無く、もはやプラスチック無しには人類の発展は望むべくもありません。
しかしながら、昨今、河川や海洋などの自然環境に逸出したプラスチックによる生態系の破壊などの環境汚染が顕在化し、全世界的に問題視されています。これに伴い社会のプラスチックへの視線は厳しさを増し、プラスチックの使用自体を禁止する過激な主張を唱える輩も現れています。
しかるに先に述べました様に、今や我々人類が文明的な生活を営み続けるためにはプラスチックは無くてはならないかけがえのない素材であり、これを完全に代替する素材は見当たらないのが実情です。
我々一般社団法人資源プラ協会としては、徒にプラスチックの使用を制限するのではなく、如何にして環境に調和した形でプラスチックを使いこなし、プラスチックと上手に付き合って行く道を模索する立場を選択しました。
そのためには、使用を終えたプラスチック廃棄物を適切に回収し、その由来や性状に見合った処理・処分を施す事によって自然環境への逸出を防ぐ必要があります。
我々は「資源プラ」という挑戦を通じて、「品質」という観点からプラスチック廃棄物の適切な「行き先」を決める取り組みを続けています。
大切な事は、やたらに規制を設ける事では無く、経済的な合理性が担保された枠組みの中でプラスチックを使いこなしていく事にあります。
「規制による強制的な管理」ではなく、「経済的な合理性に基づいたプラスチックとの共生」ですね。
但し、初めに申し上げました様に逸出したプラスチックが環境に影響を及ぼしている事は間違いなく、我々もこの点は否定しません。
それ故に逸出の状況と環境への影響を実際に調査・研究して解決への道筋を見つけていきたいと模索しています。
その様な実際に手を動かす取り組みを「資源プラ協会なごやラボ」では日夜進めているんです。
調査結果は追々このホームページなどで公表させて頂き、皆様と情報を共有させて頂き、より良い形でのプラスチックとの付き合い方を目指していきたいと思います。
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