資源プラ協会なごやラボでは、プラスチックリサイクルを始めとするプラスチックの技術的な側面について調査研究を進めていますが、これに合わせてプラスチックに係る各種取引市場に関する情報も収集・解析して市況動向の把握に努めています。
解析結果は毎月開催される理事会で報告され、担当分野において高度の専門性を有する理事の意見が多角的に交わされています。
意見交換を通じて得られた当協会としての見解は、会員の皆様に向けて会員ページの記事や当協会が開催するセミナーの中で報告させて頂いています。
さて今回は、深刻化するウクライナ情勢についてです。
もう皆様ご存知の通り、2022年2月下旬に突如ロシアがウクライナに侵攻した事は世界に大きな衝撃を与えました。
理事会でも大きな話題となりましたが、特に我々が注目したのは「天然ガス価格の急騰」です。
今回の天然ガス価格の急騰は原油や石炭の価格にも飛び火しており、プラスチック原料価格にもじわじわと影響を及ぼす可能性がありますので、その動向を知る事は非常に重要です。
事実、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を皮切りに欧州における天然ガス価格が急騰しています。
そしてこの欧州の急騰に引っ張られる形で、我が国と米国における天然ガス価格も緩やかに上昇しています。
まさに”ウクライナ危機”という非常事態が資源価格に波及した事を如実に表しています。
この欧州における天然ガス価格の急騰は、特にコンチネンタル(大陸欧州)において顕著なのですが、特にドイツやイタリア、そしてハンガリーなどの東欧諸国が大きな影響を受けています。
この傾向は、これらの国における天然ガス調達の多くがロシアからのパイプライン輸送に依存しているからです。
下表をご覧下さい。各国の一次エネルギーの自給率とロシアへの依存度を示します。
ドイツでは天然ガス輸入量の43%、イタリアでは天然ガス輸入量の31%がロシア産で、共に輸入シェア1位となっています。
フランスにおいても天然ガスについてはロシアに多くを依存しており、27%(輸入シェアでみると2位)がロシア産となっています。
またドイツにおいては石油に関してもその輸入量の34%がロシア産で、これも輸入シェア1位となっています。
まさにドイツは一次エネルギーの多くをロシア、それもロシアからのパイプライン輸送に依存している実態がお解り頂けると思います。
理事会では、今後の先行きについて様々な意見が交わされましたが、「戦争」という愚行が我々の存律基盤であるプラスチックに関する様々な事業に多角的な影響を及ぼす可能性を念頭に置く必要性を感じました。
詳細な市況動向の検証結果は、後日、会員ページや会員向けの当協会が開催するセミナーで取り上げさせて頂く予定です。
一刻も早い戦争の終結を願うばかりです。安定な資源プラ物流は平和な社会でこそ成しえるのですから・・・。
Comments