【資源プラ】品質は「ヒト」と「技術」が生み出す
この会員ページでも紹介させて頂いております様に、「資源プラ」という取り組みは、再生プラスチック原料製造の基材となるプラスチック廃棄物の処理物(前処理、中間処理)の「品質」を向上させる事で、再生プラスチック原料の品質向上や物性の安定化を直接目指すというものです。
プラスチックによる全世界的な環境汚染に対して社会的な注目が集まる中、我々は社会に対する責任を果たすため、廃棄されたプラスチックが“確実に”リサイクルされる仕組みを創り上げる必要があります。
特に世界中の廃プラスチックを呑み込み続けてきた中国や香港において輸入規制「国門利剣」が実施されてからは、多くの廃プラスチックが行き場を失い、新たな静脈物流の構築が早急に求められています。
この課題に対する答の一つとして、パナ・ケミカルの犬飼社長が提唱したのが「資源プラスチック(資源プラ)」というビジネスモデルです。
「資源プラ」の概念が社会に広まる事で、排出事業者や処理業者においては、流通性に優れる「資源プラ」を優先的に製造するため、プラスチック廃棄物の前処理や中間処理が適切に行われる事になります。
そして、品質面で優れる「資源プラスチック」が市場に多く流通する事により、品質や機能に優れる再生プラスチック原料が開発・製造される事で、プラスチック産業全般における再生プラスチック原料の地位が向上する事になります。
これが「資源プラ」プロジェクトの主な狙いです。
資源プラの本質は、「品質」という指標に基づく「資源プラ」と「廃プラ」の戦略的な住み分けにあると言えます。
しかし、この「品質」というものは、やみくもに前処理や中間処理、再生処理を進めても決して向上するものではありません。
「品質」とはどの様なものであるかを見定め、全社的に「目指す品質のレベル」を共有する事から始まります。
しかし、「目指す品質のレベル」と言いましても、一体どこから手を付けていけば良いのか躊躇する方もおられます。
そこで資源プラプロジェクトにおいては、資源プラの定義や認定基準を定め、品質を向上させるための足掛かりを用意させて頂いています。
そして、この基準に基づき資源プラを製造する事業所(資源プラスチック製造事業所)を認定する制度も運営され始めています。
一度、資源プラ協会のホームページをご覧頂ければと有難いです。
さて、現実に資源プラを“製造”するためには2つの要素が必要です。
それは、「ヒト」と「技術」であります。
品質を向上させるためには、第一に「ヒト」による異物の徹底的な分別が不可欠です。
異物の少ない品質面で優れた資源プラスチックからは、物性や品質が安定した成形品を生み出す事が出来る訳で、安定なリサイクルの輪を維持するためには異物を適切に管理する事が必須です。
そして優れた技術に支えられた処理装置による中間処理や再生処理を施す必要があります。
どれだけ分別を徹底したとしても、処理装置がいい加減なものであれば資源プラとしての流通性(経済性)を損なう事もあります。
つまり、「資源プラレベルの品質を生み出す仕組み」を創り上げるには、「ヒト」と「技術」がマッチした前提条件が必要となるのです。
但し、この「技術」というものは、決して装置に限るものではありません。
高度に分別を進めるためには、作業者、つまり「ヒト」自体の「技術」をも確保する必要があります。
異物や汚れの除去という作業は、手間やコストの観点から排出源により近い“川上”で行う方が断然有利でありまして、再生処理よりも上流の前処理や中間処理の工程での品質管理にスポットを当てる必要があります。
当たり前の事なのですが、前処理や中間処理における異物除去という作業は、「廃プラスチック」を「資源プラスチック」へと生まれ変わらせるために必須である大切な作業であると言えます。
それ故に、良質な資源プラを製造するためには、下表に示す様な「そもそも異物とは何か?」、「異物の混入がどの様なトラブルを引き起こすのか?」という点について、作業者をはじめとする全従業員で理解し、共有する必要があります。
このためには、作業者に対する教育を適切に実施し、知識の習得のみならず、実際の作業内容を現場レベルで身に着けて頂く事が必須です。 当然、この現場での技術習得には装置の適切な操作や管理も含まれる訳で、「ヒト」を育てる事は同時に「技術」を獲得する事にも繋がると言えます。 今や「ヒト」と「技術」を育む事で、「プラスチック廃棄物の処理に重点が置かれている現状」から「プラスチック廃棄物から資源プラスチックを製造する未来」へと転換を図る時期に至っていると思います。 是非、今一度、「資源プラ」というチャレンジに興味を持って頂ければ有難いです。
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