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【資源プラ】資源プラという“視点”の特異性(会員ページより)

【資源プラ】資源プラという“視点”の特異性

プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するためには、出口である再生プラスチック原料の利用拡大を図る事が必須です。


しかし現状では、再生プラスチック原料に対する需要は十分であるとは言えません。

やはり異物の混入や品質や物性のバラつきなどを心配されるユーザーの方もおられ、我々としても需要を喚起していく必要性を感じています。

これまで再生プラスチック原料の流通を活性化するために、品質に関する規格を制定したり、再生プラスチック原料を使用した成形品にラベルを付与したり、ライフサイクルアセスメント(LCA)などの情報を付記して環境に調和した素材である事をアピールしたりするなどの様々な方法が検討されてきました。

例えば、「環境に調和した製品である」と客観的な基準に基づいて認定された製品に表示される「エコラベル」が挙げられます。

エコラベルには様々なものがありまして、プラスチックのマテリアルリサイクルに関するものとしては、PETボトルの再生利用製品に付与される「PETボトルリサイクル推奨マーク」が有名ですね。

PETボトルリサイクル推奨マークは、

1.回収された使用済みPETボトルで、日本国内で再商品化されたフレーク、ペレットまたはパウダーが25%以上原料として使用されており、商品の主要構成部材として利用されている。 2.品質及び安全性については関係法規、基準等に合致している。

の要件を満たしている商品に付与されます。

「このマークが付いている商品はPETボトルリサイクルに寄与しているんですよ!」という情報を広く社会に提供する事で、消費者の方々にPETボトル由来の再生製品の選択を促し、社会全体としてPETボトルのリサイクルを推進していくという目的があります。


また政策的にもグリーン購入などを通じて、再生プラスチック原料を使用した製品の流通を喚起する事が試みられてきました。

しかるにこれらの方策は基本的に“再生プラスチック原料そのもの”を対象とするものです。

他方、我々は、再生プラスチック原料製造の基材となるプラスチック廃棄物の処理物(前処理、中間処理)の「品質」を向上させる事で、再生プラスチック原料の品質向上や物性の安定化を直接目指す取り組みを始めました。

これが「資源プラ(資源プラスチック)」という“挑戦”です。

プラスチックのマテリアルリサイクルでは、異物や汚れの程度が再生プラスチック原料の品質を定める最大の要因となります。

特に異物の混入は再生プラスチック原料を使用した成形品に機械的強度の低下など様々なトラブルをもたらす事があります。

下写真をご覧下さい。


これは異物を比較的多く含むインゴットから作られたポリスチレン原料を試験的に射出成形した成形品の表面を実態顕微鏡で観察したものです。

色々な異物が混じっているのがお解り頂けるかと思いますが、中心には比較的大きな異物が見られ、この異物の周辺が白く濁っているのが分かりますよね?

左写真の大きな異物はゴム片、右の大きな異物は木片なのですが、白く濁っているのは成形品を構成するポリスチレンと異物の間に空気が入っているためです。

これは、ポリスチレンと異物との間の界面張力に差があるため双方がなじまず、弾き合った結果、微小な隙間が形成された事に因ります。

この隙間の部分に外部から力が掛かると、プラスチックと異物との界面領域で破壊が起き易くなります。

つまり、この界面領域は力学的な弱点(欠陥)となる訳で、異物の混入が再生プラスチック成形品の機械的強度の低下を招く可能性がある事になるのです。

この様に再生プラスチック原料における異物の管理というものは、再生プラスチック原料の普及拡大を進める上で、避ける事が出来ない大きな課題です。

この異物や汚れの除去という作業は、手間やコストの観点から排出源により近い“川上”で行う方が断然有利でありまして、再生処理よりも上流の前処理や中間処理の工程での品質管理にスポットを当てる必要があります。


パナ・ケミカルの提唱する「資源プラ」とは、有償取引に供されるプラスチック廃棄物の前処理、中間処理後の処理物に適用される概念であり、取引上、品質面で一定の基準を満たす処理物について「資源プラ(資源プラスチック)」との呼称を付与する事で、市場経済に叶った形での流通上のインセンティブを付与するものです。

ざっくばらんに言いますと、廃プラスチック処理物の「品質」の基準というものを明確に定め、この基準を満たす品質面で優れる廃プラスチック処理物については、「資源プラスチック」と呼び習わす事で、ユーザーの皆様に品質面で優れる事をアピールするという取り組みです。


「資源プラ」の概念が社会に広まる事で、排出事業者や処理業者においては、流通性に優れる「資源プラ」を優先的に製造するため、プラスチック廃棄物の前処理や中間処理が適切に行われる事になります。

そして、品質面で優れる「資源プラスチック」が市場に多く流通する事により、品質や機能に優れる再生プラスチック原料が開発・製造される事で、プラスチック産業全般における再生プラスチック原料の地位が向上する事になります。これが資源プラプロジェクトの主な狙いです。

異物の少ない品質面で優れた資源プラスチックからは、物性や品質が安定した成形品を生み出す事が出来る訳で、安定なリサイクルの輪を維持するためには異物を適切に管理する事が必須です。

つまり、当たり前の事なのですが、中間処理における異物除去という作業は、「廃プラスチック」を「資源プラスチック」へと生まれ変わらせるために必須である大切な作業であると言えます。

これまで、プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するために、出口である再生プラスチック原料にのみ焦点を当てた様々な広報活動や政策パッケージが講じられてきました。

しかし、再生プラスチック原料のユーザーの立場からすれば、再生プラスチック原料の物性の安定化や利用上のメリットの把握という事が重要な取引要件となります。

このユーザーの要求を満たすためには、再生プラスチック原料の製造工程、特に廃プラスチックの前処理や中間処理の段階における異物管理を徹底し、この管理が適切になされているという「基準」「情報」をユーザーと共有する事が必要となります。

資源プラという取り組みは、異物や汚れの管理を適正化する、つまり「品質」に基づいた処理を行う事で再生プラスチック原料の物性の安定化を可能とします。

また、品質に関する「基準」を明確に定め、処理に関する「情報」を一連のマテリアルリサイクルの流れの中で共有する事により資源プラの取引価格も適正化され、経済的な合理性に基づいたマテリアルリサイクルのシステムを構築する事が可能となるのです。

資源プラという取り組みは、「マテリアルリサイクルのより川上の段階での品質管理を徹底し、川下に品質面で優れる資源プラを供給する仕組みを構築する」というものであり、従来の再生プラスチック原料の利用拡大への取り組みとは大きく視点が異なるものであるという事を御理解頂きたいのです。

(本堀)