shigenpla_logomark.png

​お知らせ・活動報告

【資源プラ】資源プラスチックの基本的な考え方と定義(会員ページより)

【資源プラ】資源プラスチックの基本的な考え方と定義

先日、この会員ページでも紹介されましたが、アジア経済研究所の小島道一先生が「リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか」という著書を中公新書から上梓されました。


小島先生は廃棄物や再生資源の越境に関する研究の分野における第一人者であり、環境省中央環境審議会やバーゼル条約関係の委員なども歴任されており、静脈物流を経済学の立場から研究されておられます。

今回上梓された著書では、中古品や再生資源の貿易に関して、各種の統計データや現地での綿密な調査の結果を基に、リサイクルやリユースの現状や問題点というものを非常に分かり易く解説されています。

この本、ハッキリ言って近頃稀に見る良書であります。ご一読をオススメします!

さて、この書籍に中で、より望ましい国際リサイクルに向けて輸出事業者の行っている品質向上に向けた取り組みの一つとして、パナ・ケミカルが提唱する「資源プラ」の取り組みが紹介されています。

皆様御存知の様に、現在、中国向けの輸出環境は相当厳しくなっていますので、我々としても明確な方針に基づいて新たなマテリアルリサイクルの仕組みを組み上げていく事で、この難局を乗り越えていく必要があります。

この厳しい状況を鑑み、パナ・ケミカルの犬飼社長が中心となって、“品質の向上”による円滑な静脈物流を維持するため、従来、「廃プラスチック」と呼ばれてきたプラスチック廃棄物について、新たに「資源プラスチック(Resource Plastic)(通称:資源プラ)」という概念を提唱するに至りました。


「資源プラ」に関しては、以前より度々この会員ページで紹介させて頂いておりますが、小島先生の著書でも紹介して頂いた良い機会ですので、今回“おさらい”をさせて頂きます。

「資源プラスチック」とは、有償取引に供されるプラスチック廃棄物の前処理後中間処理後の処理物に適用される概念であり、取引上、品質面で一定の基準を満たす処理物について「資源プラスチック」との呼称を付与する事で、市場経済に叶った形での、流通上のインセンティブを付与するものです。

ざっくばらんに言いますと、廃プラスチック処理物の「品質」の基準というものを明確に定め、この基準を満たす品質面に優れる廃プラスチック処理物については、「資源プラスチック」と呼び習わす事で、ユーザーの皆様に品質面で優れる事をアピールするという取り組みです。

資源プラスチックの基本的な考え方を以下にまとめておきます。


さて、この資源プラスチックの定義(基準)ですが、プラスチックのリサイクルに関する専門家を交えた協議を通じて、以下の様に定められました。


基本的には、「プラスチック廃棄物に適切な前処理や中間処理を施すことで、再生プラスチック原料の基材として、有価で取引する事が出来る品質を保有する処理物の事」を資源プラスチックと称するですが、品質面のみならず、関係法令による規制も遵守し、また取引上の商慣行等の基準についても満たす事も要件としています。

順に各項目を見て参りましょう。

1.適切な前処理、中間処理を施す事で、全量再生プラスチック原料の基材として利用できる品質を保持する処理物である事。

これは最も基本的な部分なのですが、ポイントとしては、(1)適切な処理、(2)全量を再生プラスチック原料の基材に利用するという点にあります。

「適切な処理」とは、環境に調和し、かつ衛生的な処理の事で、廃棄物処理法の主旨にも合致するものと言えましょう。

技術的には、前処理や中間処理の第一の目的は、「廃棄物をエネルギー的に安定な状態に変化させ、衛生面で周辺環境に影響を及ぼさない状態に保つ事」であると言えます。

この一義的な目的を達成した上で、マテリアルリサイクルを進めていくのに必要なハンドリング性の向上や後工程を円滑に進めるための「減量化」が第二の目的となります。

つまり、適切な処理とは、排出された状態の廃プラスチックから安全面や衛生面で問題となる異物や汚れを取り除き、そして再生工程を円滑に進めるために施される形状調整や処理物の均質化を行う工程であると言えます。


「全量を再生プラスチック原料の基材に利用する」という点についてですが、仮に「適切な処理」を十分に行う事が出来れば、排出されたプラスチック廃棄物の中で、ターゲットとなる種類のプラスチックについて適切に“全量”が分別され、自ずとその“全量”がマテリアルリサイクルに供される事となります。

逆に、複合成形品などのプラスチック廃棄物の一部だけがマテリアルリサイクルに供される場合については、処理や流通の実態、環境負荷などを鑑み、別途判断するものとします。

あと、「基材」という言葉についてですが、これは再生プラスチック原料の性質を決める“主要な構成要素”の事です。

再生工程においては、プラスチック廃棄物から分別されたリサイクルのターゲットとなるプラスチック(基材)に、他の種類のプラスチック原料や添加剤、充填剤などの補助的な他成分を加え、再生プラスチック原料へと生まれ変わります。

この再生プラスチック原料の基材に供される事が、資源プラスチックの一つの要件であると言えます。


2.品質とは、汚れの付着や異物の混入の程度、中間処理に伴う物性低下の程度などの事であり、具体的な品質基準は別途定める。

資源プラスチックを考える上で最も重要な事項が「品質」の定義です。

品質については、物性などの客観的な数値で評価されるものだけでは無く、「取引上・商慣習上の品質」というものも合わせて考慮する必要があります。

そこで、現時点では、資源プラスチックにおける品質というものを、「汚れの付着や異物の混入の程度、中間処理に伴う物性劣化の程度などの事」と定義しておきます。

参考に再生ポリスチレン原料中に含まれる異物の顕微鏡観察例を下図に示します。基材であるポリスチレンの中に、輪ゴムに由来すると思われるゴム片が観察されます。

ゴムの主成分である天然ゴム(ポリイソプレン)とポリスチレンは混ざり合わないため、成形を行う際には障害となる可能性があります。

従って、前処理の段階で十分に異物である輪ゴムの除去を徹底する事が、ユーザー様の求める品質の向上に資する事になります。


ただし、異物混入の程度については、ユーザー様により許容範囲は異なり、市場における一律の基準は未だに無いのが現状です。

そのため具体的な品質基準は、プラスチック廃棄物の種類や前処理・中間処理の方法、再生処理の方法、流通の動向、ユーザー様の要望などを踏まえて、総合的に判断し、別途策定する事とします。

当然、技術の進歩や市況の変化、ユーザー様の希望などに応じて求められる品質というものは変化する訳でありまして、その様な場合には、品質基準は適宜変更されていく事になります。

具体的な品質の評価や品質管理の手法については、今後、この会員ページで、折に触れて取り上げて参ります。

3.処理物は輸送時や保管時において、取り扱い易く、物理的・化学的に安定であり、安全かつ衛生的に取引ができる荷姿に仕上げられている事。

品質が高い処理物を“製造”したとしても、輸送や保管に適した荷姿に仕上げられていなければ、商品としての価値は低下してしまいます。

また、定義中にある「取り扱い易く、物理的・化学的に安定であり、安全かつ衛生的に取引ができる荷姿」に仕上げられていれば、輸送時や保管時における事故や火災などの災害の発生自体を抑制する事にも繋がる事になります。


4.プラスチック廃棄物の適切な処理を進めるため、関連法令に定める基準を満たし、法令を遵守する事。 廃プラスチックのリサイクルをビジネスとして営んでいく上で、関連法令に定める基準を遵守する事は、社会や周辺地域から理解を得るためにも必須の事項であります。

廃棄物処理法に定める処理基準や保管基準はもちろんの事、許認可事務を適切に行う事は言うまでもありません。

水質や大気、騒音、振動、悪臭といった各種公害に関する各種環境法や、地方自治体で独自に定める条例などの基準を遵守する事も必須の事項です。

また労働災害や火災の発生を未然に防ぐため、労働安全衛生法や消防法といった法令に関しても適切に対処する事が求められます。

5.輸出に供される処理物については、輸出に関する国内法および国際条約、輸出先の国内法に定める規制基準に適合する事。

これは輸出に関しての事項ですので、商社へ処理物を売却しておられる事業者の方は、商社の方へ遵守の状況を確認されるべき事項です。

バーゼル条約や外為法などの法令やキャッチオール規制などの輸出に関する法令等に加え、輸出先の法令に関する基準についても遵守状況を把握しておく事が望まれます。

6.盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物(盗品等)など、違法・脱法行為に由来するプラスチック廃棄物の処理物ではない事。

これはもう言うまでもありませんが、盗品など違法・脱法行為により得られたプラスチック廃棄物の処理物は、社会的な常識として、資源プラスチックとして認める訳にはいきません。

以上、「資源プラスチック(Resource Plastic)(通称:資源プラ)」の目的や定義を踏まえ、基本的な考え方についてお話しさせて頂きました。

ゴチャゴチャと小難しい事を述べましたが、要は、「プラスチック廃棄物の処理に重点が置かれている現状」から「プラスチック廃棄物から資源プラスチックを製造する未来」へ意識を転換するプロジェクトにチャレンジするという事なのです。

厳しさを増す貿易環境に適切に対応していくためには、今回お話しさせて頂きました「資源プラ」という考え方が“大きな力”となります。

ぜひ、今一度、資源プラスチックの特設ページをご覧頂き、ご不明な点がありましたら、遠慮無く、ご質問頂ければと思います。