資源プラ協会では、国内資源循環の重要性を深く認識しつつ、国際循環の役割も重視しています。
特に、成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けて、国内外の資源循環を支えるための制度見直しが進められています。
しかし、この国際循環が持続的かつ法的に適切に行われるためには、バーゼル法に基づく厳格な規制を遵守することが前提です。
バーゼル法は、廃棄物の国際的な移動に関する規制を定めており、その主な目的は、不正輸出や不適切な処理による環境汚染を防ぐことにあります。
2021年に発表された「廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」は、廃プラスチックの輸出に関する具体的な基準を示しており、当協会もこの基準策定に関わりました。
この基準の導入以降、当協会には多くの質問が寄せられています。
その中でも特に多いのが、フィルム圧縮品の輸出に関するものです。フィルム圧縮品は、その透明性や汚れの少なさから、適切に処理されているように見えることがあります。
しかし、複数の場所から回収された圧縮フィルムは、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などの素材が混在していることが多く、結果としてミックスプラスチックとして扱われることがあります。
フィルム圧縮品の輸出に関しては、当協会の理事会および当協会所属の物流の専門家を中心としたタスクフォース「改正バーゼル条約調査研究チーム」において、バーゼル条約上の取り扱いやバーゼル法における適法性を詳細に検討致しました。
バーゼル法の基準では、このようなミックスプラは輸出が規制されており、適切な手続きを踏まずに輸出した場合、不正輸出と見なされる可能性があります。
実際に、2021年にも特定有害廃棄物等に該当するプラスチックを未承認で輸出しようとした事例がありました。
このケースでは、輸出しようとしたフィルムが汚れていたことや、ミックスプラとして取り扱われたことが問題視され、厳重注意が行われました。
このような事例は、バーゼル法に対する理解不足や、適切な処理の欠如が原因となっています。
フィルム圧縮品の輸出を検討する際は、透明で汚れが少ないからといって、そのまま輸出することは非常にリスクが高いです。
輸出業者としては、輸出前に専用の設備でフィルムをペレット状に加工し、バーゼル法の非該当とすることが重要です。その上で、専門商社などの信頼できるパートナーと協力して、適切な輸出手続きを進めることを強くお勧めします。
このようにすることで、バーゼル法に違反するリスクを大幅に減らし、国際的な資源循環に貢献することができます。
今後も、資源プラ協会は業界の皆様と協力しながら、法令遵守と持続可能な資源循環の実現に向けた取り組みを進めてまいります。バーゼル法や輸出に関する詳細な情報は、環境省の公式ウェブサイトをご参照ください。
【バーゼル法に関する詳細はこちら】
皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
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