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特設サイト

​「プラ循法」
パブリックコメント
理事たちの提言

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2022年に実施される「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、当協会内仮称「プラ循法」)」のパブリックコメントに対する意見募集は、2021年11月8日〆切の件名:「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案』等に対する意見」として、環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室が窓口で実施された。

当協会は、この意見募集に対し、理事会として公式にアクションを行う決定を採択。
同締め切りに対して、電子メール方式に則り、実務、法務、技術の三つの視点を複合的に勘案、3つのパブコメ意見書提出と1つの提言をおこなった。

パプコメの意見書の集計結果の公表程度と時期は、窓口省庁の判断となるが、当協会は「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」の招へい委員でもあるので、政官学、関係有識者に"提出した意見書"の方向性をお知らせするとともに、その全文を、このホームページに公開するに至りました。当協会のスタンスご理解への一助とされたい。

 

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代表理事 犬飼健太郎
国内循環型リサイクルとバーゼル法に基づく輸出、ペレットと再資源可能な再生プラスチック原料の基材であるプラスチックの間にある垣根を取り払う
わが国のプラスチック処理再生業界は、本パブコメに関わる『プラスチック資源循環促進法』の十数か月前に施行された『バーセル法』が大きな転換になり、本業界は現在においても、一部、混乱と混沌のなかにあります。

それは、バーゼル法のターゲットであることが自明な、国外への輸出を生業とする商社等事業者のみならず、国内のみで事業を展開するリサイクル専門事業者と、それらに中間処理後物を供給する廃掃法の第2条4の一に適合した廃プラスチック類の収集運搬、処理再生の各工程を生業とする産業廃棄物事業者、若しくは同第2条2に適合した一般廃棄物由来のそれらの処理再生行程を担う組織(市町村とそれと連携する事業体)へと波紋を拡げています。

新しく施行されたバーセル法によって示されたのは、循環型社会へのステップとして大いに期待される方向性ではありますが、本意見書において、このバーゼル法がもたらした影響を書き示します。

2021年1月より有効になったバーゼル法によるプラスチックの取り扱いへの影響:

(1)バーゼル法によって、使用済みプラスチックのわが国から海外市場への輸出量が半分になった。

(2)当初の狙い通り、輸入国の環境負荷を誘発するプラスチックの輸出がなくなった。

(3)バーゼル法によって、輸出分についてはプラスチックを排出する排出事業者側の環境リスクがマネジメントされ、リスクの低減がなされた。

(4)しかしながら、バーセルの関門を通る必要がない国内で完結する処理再生については、一部、偽装的に有価性をもって取引きされるなどした場合おいては、廃掃法の枠組みから外れ、奔放かつ無秩序に再生処理されることがあり、排水や残滓の処分が不十分な可能性がある。それらの情報は、排出事業者サイドへも伝わらずに、極めて不透明であると言える。

(5)前述の(4)は、悪貨が良貨を...の例えのごとく、それらの不適正な行為が静脈マテリアルの健全な処理再生、再生市場の価格破壊と混乱を招き、有効有用な循環資源の流通を阻むものとなる可能性がある。それは結果として前述の(3)を全うする意識改革の綻びを招く。

(6)また、バーゼル法に基づいてプラスチック輸出の枠組みが丁寧に作られた一方で、今だに成形原料のマテリアルの形状は、ペレット状であることが必須との一般論が多数を占めている。しかしながら、処理再生工程に投入される排出物の性状を、なんら判断せずにペレット化を必須とすることは、必ずしも最適とは言えない。なぜならば、その熱履歴を無駄に増やしてしまうことがあるからである。

(7)ペレット状にしなくとも、破砕粉砕工程にて夾雑物(コンタミ)を取り除く仕組みなどを活用していけば、熱履歴による劣化を回避して、かつ良好な成形が可能であると考える。(好事例:発泡スチロールリサイクル)

(8)よって、本プラスチック資源循環促進法の施行と将来の枝葉条文の追加、各種リサイクル法との連関、関連通知の整備を待望するものである。これらを絶好の機会として捉え、国内リサイクルの環境負荷低減を目指すマネジメント法の一環として、国内リサイクルの出口としてそれを支える重要なリサイクル行為として、輸出も認識頂きたい。

(9)そこで、バーゼル法と本プラスチック資源循環促進法が、制度を充足していくべき、“プラスチックリサイクル”という定義は、国内の流通循環(廃掃法と本プラスチック資源循環促進法が管掌する行為)と、輸出の流通循環(バーセル法等が管掌する行為)において同等のマネジメントであることを強く望む。

(10)これらを実現するために、当該意見書の提出者となる一般社団法人資源プラ協会は資源プラの製造工程への技術的支援、要求した品質を司るための機械設備の認定、成果物マテリアルの受け取り側目線での品質管理を立案し運営している。

(11)ビジネスボリュームは半分になったが、バーゼル法はプラスチック輸出を環境リスクの少ないリサイクルシステムへと変貌させた。

今後は、プラスチック資源循環促進法に基づく国内循環型リサイクルとバーゼル法に基づく輸出、ペレットと再資源可能な再生プラスチック原料の基材であるプラスチックの間にある垣根を取り払い、それぞれ一体化とさせることで、わが国が世界にむけての環境技術立国を再び、目指すことができると考えています。


 
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陪席参与 平田耕一
責任ある生産と責任ある消費:メビウスの環をシンボルとした循環利用の完遂
今般の”プラ循法”においては廃掃法にて51年間、定義を模索していた“排出事業者”と“廃棄物と有価物の定義・区分”に一定の線引きを行う端緒の役割を担う重要なクライテリア(判断基準)の策定を行うものと考え、とても役割が重要だと考える。

元より、旧来においても、「不要なもの=廃棄物」であれば廃掃法にマネジメントされることになる。廃掃法の目的に記されている“廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理”の記述順に従い、“適正な分別と保管”を排出事業者側が担い、委託基準に基づく許可業者が、廃棄物の保管場所への引き取り、つまりは“収集・運搬”は収集運搬の許可、“処分等の処理”は処理業者の許可、当該においては営業の許可と施設設備の許可(例えば5トン未満の足切り等)が必要となる。この第一条における“再生”については、それまでの暗黙知的な定義を終えて、平成3年の改正にて明文化された流れを、今般の“プラ循法”において明確に判断基準を提示していく流れとなり、評価できる。

ついては、施行に際しては、このクライテリアを、より明文化して臨まれたい。

誤解を恐れずに言えば、廃掃法にて管理する行程のなかで、その範疇となる再生という工程は、法による許認可という形式知まで踏み込まずに、適宜運用されてきた歴史がある。そのなかでは、偽装リサイクル、不要物すなわち廃棄物であるにも関わらず有価性若しくは無価有用物を称しての適用逃れ、排出事業者に成り済ました権益の不適正確保が横行してきた。

そのなかで、管理が可能な業態や規模を裏付けにして、数多の施策が機能してきた。例を上げると、①専ら物の通達・通知を拠り所にした四品目のオペレーション、②広域再生利用指定制度などの大臣認定による製造・加工・流通業者の自社製品への循環利用オペレーション、③疑義照会回答による下取り行為を応用した自社製品に限定せずに同種の製品をも包摂した処理再生オペレーションなどがある。廃棄物であれ有価物であれ、製品のライフサイクルの川下側(静脈側)において、これらをもって、適正で的確かつ有効・有用な資源確保がなされてきた背景がある。
ついては、施行に際しては、この対処療法的、とはいえその時代においては一定以上の成果を得られたオペレーションとの整合性を確保する端緒となるように準備されたい。
弊職の見聞きするプラスチック処理再生の業界、その表のみならず裏の業界人においては、“プラ循法”の目指す「規制強化より規制緩和をしつつ、適正な循環型社会の構築の枠組み」を、旧来の規制強化一辺倒の役割、憎まれ役を引き受けてきた廃掃法を骨抜きにする手練手管のガイドブックにする動きがある。

また、明るいテーマとしては、世界は、国連の持続可能な開発計画を旗印に、政策立案と法整備がなされていく流れとなった。パネル12番の「責任ある生産と責任ある消費:メビウスの環をシンボルとした循環利用の完遂」を、先取りする環境社会の先駆として、バーゼル法との整合性と役割分担を明確にすることを第一に準備されたい。

ついては、施行に際しては、その迷路的隘路をすべて円滑にすることを一足飛びに目指すことなく施行後の積み残し議論も容赦の上、施行までの短期間においては、パブコメからのエンハンスメントを含め、取捨選択をされたい。


 
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技術理事 本堀雷太
経済的な合理性と持続的継続的な仕組みの構築、事業の継承
同法が目論むリサイクルのカタチは、その基本的なスタンスとして「日本国内で完結するリサイクル」をめざしていると理解しております。

この背景には、「日本国内で生産され、やがて消費されたプラスチックは、国内でリサイクルすべき」という基本原則、例えば廃掃法で言うところの、“国内において生じた廃棄物は、なるべく国内において適正に処理されなければならない”(第二条の二の1:国内処理の原則)、“国民は廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。”(同法第二条の四:国民の責務)に系譜を辿るものと推察します。

とはいえ、環境の世紀となった2000年以降は、グローバルリサイクルの掛け声と先進国、発展途上国との適正な役割分担を目指し、国際的な資源循環への取り組みが勢いを得てきました。

言葉尻を掴むと相反する頂にも見えますが、『なるべく国内』『廃棄物の減量』の語彙を正確に捉えていけば、それは相反するものではないと考えます。

つまりは、冷静に経済的な合理性と持続的継続的な仕組みの構築、事業の継承を考えるべきと思います。

国内におけるプラ再資源化商品の需要規模が、海外のそれと比べて絶対的に小さいこと、それと人口増減のトレンドのなかでは、国内は少子高齢化により、プラスチックの利用を喚起したとしても、将来的な市場の拡大が望めないことが挙げられます。

言うまでもなく、各種環境法やリサイクル法は、有害忌避な素材の使用漸減を根底に持っており、再資源化商材の市場拡大を目論むプラスチックの利用喚起などは以ての外許されません。

これは、現在において、つまりグリーン購入法施行から20年に渡る年月を持ってしてもそれらの出口が、確たる規模に成長していないことを証左することでもあります。

ゆえに、本来的にプラスチックに係るルールが目指す姿は、まずは国際的な資源循環の輪も組み合わせたプラスチックリサイクルであります。

誤解を恐れず言えば、これは決して日本国内のリサイクルループを否定するものではなく、共存していくものとなります。

現実を取り巻く環境は、①コスト(人件費・水道料金・エネルギー費用・環境対策費用など)と②不安定な市場(処理と再生の境界線が分かりにくことも含めて)、③不透明な排出事業者のコスト負担(処理手数料・処理料金)、④よこ串を当てずらい…ついては縦割りに成りがちな法規制と行政庁区分などが横たわり、安定化の取り組みは端緒すら見つかりません。

本提言のごとく、国内外という見えない境界線を、一旦取り除いて、純粋にプラ再資源化商品(当会:一般社団法人資源プラ協会の呼称するところの資源プラと廃プラスチック類由来の再生プラスチック原料)をマテリアルとして見つめ、その需要の拡大と市況や社会動向の変化へのリスクヘッジのために国際的な物流を活用したグローバルな資源循環の輪の構築を目指す力量が、本プラスチック資源循環法(暫定略称)にはあると考えます。

その視点、視座、視界で全体を見渡すと、同法の最重要キーワードは「合理化」となります。

あ)事業者は合理化を旗印に再資源化を持続可能に努め続けることができます。
い)消費者は、旧来型の見えないけど負担している外部不経済のコスト(知らない間に高額なリサイクルコストが上乗せされている商材を買わされている)を合理化して、排出抑制と再生製品の合理的で理屈を理解した積極利用を促されて行きます。そのための“判断基準(判断するための拠り所になる情報)”は下記の通りと推察します。

(記)
1)経済原則に基づいた公正な市場取引に適した処理物の“品質”の重要性に気づくことができる。
2)処理物の“品質”を確保するために必要な“技術(処理技術・処理装置)”の確立に向けて積極的で透明性のある“費用対効果が明瞭な投資(人的な投資:教育など/施設機械などへの投資)”へのシフトができる。つまりは、単なる投資からESG投資へ転換し、社会問題の解決への足跡の情報発信ができる。
3)樹脂毎に“品質と効能(機能と効果)”をマトリックス分析し、優良性と安定性の確立ができる。(例:再生ポリスチレン原料の多様かつ永続的な循環利用)
4)国内の関与事業者が、国際基準に足る品格と矜持を持つことによる、拡大する国際市場でのわが国の戦略的位置付けの奪還。
5)国際的な物流環境(サプライチェーン)の構築を先導することで、安定的で持続的な商取引の発展ができる。
6)つまりは、「経済的な合理性」と「技術的な妥当性」を担保した循環利用のお手本として、プラスチックはなんでも忌避する思考への進歩的説得が可能となる。これらのビジネス事例への助成・補助金政策は、これまでになく透明性とその効能を国民に知らしめる好例への布石となる。



 
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理事 本城康司
「正の製品」と「負の製品」という仕分け
『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案』について意見を申し上げます。私の所属する一般社団法人 資源プラ協会にても、犬飼代表、本堀技術担当理事、平田陪席参与が意見を述べられていますので、私、本城はその補足として述べさせて頂きます。

資源の循環利用の先進国(エリア)となるEUにおいては、「製品」か?それとも「廃棄物」か?という括りではなく、「正の製品」と「負の製品」という仕分けがあると聴きました。これは、正の製品というのは販売される商品(正確には販売完了時点で“正”と名乗ることになる:後述)、負の製品というのは“製品の製造・加工工程にて発生する切り落とし屑などのいわゆる廃棄物”はもちろんのこと。正の製品として、製品の流通販売工程にて発生する荷崩れ破損品、長期在庫の見限り品、品番・品揃えの代替わりによって生じる廃盤製品らが、廉価でも販売を果たせずに、廃棄若しくは再生工程にいく製品が位置付けられる考え方です。これはとても私の感覚に合致する仕分けだと感心しておりました。また、わが国にて用語の市民権を得た、二者一択を迫るステロタイプな「動脈商品」と「静脈商品」も、廃棄物か?製品か?とか廃棄物か?有価物か?の区分けよりも、より一層現実的な現場感覚に優れた呼称だと考えます。

その観点で、本『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案』を俯瞰しますと、そもそも論として、プラスチックの再資源化商品を、購買する時の品質規格がとても厳しく、ほとんどヴァージン素材と同様の場合もあって、その場合には、ほぼ門前払いの憂き目に至ります。言うまでのなく、再資源化商品を原料として若しくは原料の一部として利用した商品が、一定の品質を確保できずに、消費者に購入されなくなれば、まさしくそれは負の製品まっしぐらになります。とはいえ、プラスチックの資源を循環するぞの目論みとなる本法において、一定の劣度を容認した上での、環境配慮設計、購買基準、消費者への周知なども併せて行うべく、事例の分析やそういう良好事例への補助金、助成金の分配試行を賜りたく、存じます。さもないと溢れた再資源化商品の行き場がなく、結局は廃棄処理となり、エネルギーと人的コストを掛けて廃棄物を作っていた本末転倒以上に、世界の笑いものになり兼ねません。その防止のため、そして『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案』が掲げる大きな目的を達成するためにも、施行後も業界のヒアリングを絶え間なく実施頂きたくお願い申し上げます。

 
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