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資源プラ輸出における
HSコードとバーゼル法該非判断の整合性ガイド
− 資源プラ輸出3フェーズ表公開 −

1. 公開に至った背景
―「プラ屑(HS3915)」と「再生プラ製品」を正しく区別するために ―
これまで業界では、バーゼル法の判断基準を「①製造現場」と「②消費後」の2分類で捉えるケースが一般的でした。
しかしこの区分だけでは、輸出コード(HSコード)との整合性が取れないため、バーゼル法上は輸出可能でも、商品の形状が、HSコードが3915(プラ屑)であるため輸入国で止まるといったトラブルが増えていました。
そこで資源プラ協会は、バーゼル法にHSコードの考え方を組み合わせ、
①製造現場(加工前)
②加工後(消費前)
③消費後(使用済み)
という 「3つのフェーズ」 に整理しました。
この3フェーズにより、どの状態なら“製品コードで輸出できるか”"どの状態なら“プラ屑(3915)で扱うべきか”が明確に判断できます。
各国の輸入規制が急速に厳しくなっている現状を受け、これまで会員向け資料であった「3フェーズ図」を、業界全体の判断基準として一般公開することにしました。
なぜ今、公開が必要なのか?
東南アジアを中心に、世界では次の動きが加速しています。
HSコード3915(プラ屑)は輸入拒否・制限
一次製品(ペレット・粉砕・インゴット・粉)のみ受入
このため、
バーゼル非該当 → 日本では輸出OK
HSコード3915 → 海外ではストップ
という矛盾が実際に増えています。
理由は、バーゼル法とHSコードの役割が根本的に違うためです。
2. バーゼル法とHSコードは目的が違う
バーゼル条約(環境法)
目的:環境保護
判断軸:
① 汚れなし
② 異物なし
③ 単一樹脂
④ 加工済みかどうか
→ 廃棄物かどうかを判断する制度
HSコード(国際貿易分類)
目的:世界共通の分類ルール
判断軸:形状・用途
→ 形が“屑”なら3915(屑プラ)廃棄物かどうかは関係ないため、バーゼル非該当でも3915になるというギャップが生じます。
3915(プラ屑)での輸出は“非常にリスクが高い”
近年、輸入国では:
・書類審査の厳格化
・荷揚げ時の抜き取り検査
・汚れ・異物による荷止め
・返送・罰金
などのリスクが急増し、3915での輸出は極めて不安定です。
そのため資源プラ協会は、
→ バーゼル非該当でも、原則、圧縮形状のようなHSコード3915で輸出することは推奨していません。
→ 必ず「一次製品形状(ペレット・粉砕・インゴット・粉)」に戻して輸出すること。
3. 資源プラ輸出を3フェーズで整理する理由
3つのフェーズで整理することで、バーゼル判断とHSコード分類が論理的に整合し、輸出可否が明確に判断できるようになります。
フェーズ1:製造現場(未使用品)
状態:まだ使用されていない原料・二次製品
形状:ペレット・粉砕・インゴット・粉 / ロール・板・シート
HSコード:
一次製品 → 3901〜3914
二次製品 → 3920〜3921
バーゼル:非該当
ポイント:二次製品コードで輸出できる唯一のフェーズ
フェーズ2:加工後〜消費前(途中品・不良品)
状態:成形途中の材料、不良品、端材
HSコード:
一次製品形状に戻す → 3901〜3914
戻さない → 3915(プラ屑)
バーゼル:条件により非該当
ポイント:一次製品形状に戻さない限り3915扱い
フェーズ3:消費後(使用済みプラスチック)
状態:市場から回収された使用済み品
HSコード:
一次製品形状(ペレット・粉砕・インゴット・粉)に再原料化 → 3901〜3914
バーゼル:
洗浄・異物除去・単一樹脂が必須
ポイント:一次製品形状に戻さない限り3915扱い
例:PETフレーク、EPSインゴット(J-EPS)
注意:圧縮品は一次製品ではないため 3915
※再生プラ製品は「ペレットだけ」ではない
一般的には「再生プラ=ペレット」と思われがちですが、貿易実務上は、ペレット・粉砕品・インゴット・粉の 4つすべてが再生プラ製品 として扱われます。
4. 形状によるHSコード分類ルール
区分
主な形状(HSコード)
一次製品
ペレット・粉砕・インゴット・粉(3901〜3914)
二次製品
ロール・板・シート(3920〜3921) 完成品 容器・包装材・建材 (3922〜3926)
屑プラ
上記以外のスクラップ形状 (3915)
5. 整合性を保つための原則(最重要ポイント)
基本原則:一次製品形状に戻すこと
フェーズ2・3では 3920・3921(二次製品コード)は使えない
国際的に受け入れられるのは、
ペレット・粉砕・インゴット・粉(一次製品形状)のみ
圧縮品はバーゼル非該当でも輸出リスクが高い
製造現場で発生した未使用の圧縮品でも、
形状が製品ではないため、HSコード3915(プラ屑)となります。
そのため:
・多くの国で輸入拒否
・荷止めや返送のリスク
・コスト増や信用リスク
が伴い、協会としては 3915での輸出を推奨しません。
結論:世界基準に沿った“持続可能な資源プラ輸出”へ
バーゼル法:廃棄物かどうかを判断
HSコード:形状・用途で分類
両者を整合させるには、
→ 一次製品形状(ペレット・粉砕・インゴット・粉)に戻すこと。
資源プラ協会は、今回の「資源プラ輸出3フェーズ表」の公開を通じて、日本の高品質な資源プラ輸出を守り、
世界の健全な資源循環に貢献していきます。
