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再生原料の罠とは
− Recycled Plastic Business Trap −
なぜ再生原料の安定供給は 難しいのか?

犬飼健太郎
株式会社パナ・ケミカル 代表取締役
資源プラ協会 代表理事
「再生原料の罠」とは
― 再生プラスチックの未来を考える上で知っておくべきこと ―
リサイクルが推進される中で、今、私たちは一つの大きな課題に直面しています。
それが「再生原料の罠」と呼ばれる問題です。
■ 再生原料の供給は無限ではありません
リサイクル製品のマーケティングでは、「環境に優しい」「再生材使用」という言葉が注目を集め、需要の開発が進んでいます。
しかし、その一方で見落とされがちなのが、原料となる再生基材の確保です。
プラスチックの原料には、石油由来のナフサが使われており、これは比較的安定して供給されています。
一方で、再生原料は廃プラスチックを基材とするため、量・品質ともに限られた資源です。
廃棄物削減の取り組みが進めば進むほど、再生基材はさらに減少し、需要が高まると価格が高騰し、供給も不安定になるという矛盾が生じます。
これが「再生原料の罠」と呼ばれる所以です。

■ 事例:PETボトルのリサイクルの実情
かつて、国内のPETボトルのリサイクルは困難を極め、大手の樹脂メーカーが撤退した時期もありました。
しかし現在は、「ボトルtoボトル」の仕組みが導入され、再びリサイクル需要が活性化しています。このシステムを支えているのは、飲料メーカーによる高価格での再生PETの購入です。
時にはバージン材の数倍の価格で再生材が取引されることもあり、その結果、原料価格は高騰し、入手も困難になっています。
このコストは最終的に製品価格へ 転嫁され、消費者負担にもつながる可能性があります。
■ 誤解こそが「罠」の本質
この問題の根本には、「プラスチック廃棄物は無限にある」という誤った認識があります。
しかし、実際には廃棄物の発生そのものが年々減少し、再生に回せる量も限られているのが現状です。
需要ばかりが先行し、原料供給が追いつかないまま投資が進むことで、企業・自治体・消費者それぞれに大きな負担とリスクが生まれかねません。
■ 再生材の未来のために
資源プラ協会では、再生材を活用するリサイクルの推進とともに、
その構造的な課題や現実的な限界を正しく理解することが不可欠であると考えています。
本当の意味で持続可能なリサイクル社会を実現するために、「再生原料の罠」という視点を共有し、未来につながる正しい判断を共に考えていきましょう。