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​お知らせ・活動報告

【なごやラボだより】破砕処理における事故事例の研究

資源プラ協会なごやラボの本堀です。10月に入り秋めいてきましたね。


プラスチックリサイクルを支える資源プラを製造するためには、適切な中間処理(資源プラ製造)を行う必要があるのですが、プラスチック廃棄物の中間処理は多くの”危険”が伴います


特に破砕処理においては事故が頻発しており、事業者としては適切な対策が求められます。


破砕機はプラスチック廃棄物の中間処理を行う上でとても重要な装置です。


プラスチック廃棄物の破砕処理により、処理物の減容や均質化といった効果が得られ、輸送や再生処理を効率的に進める事が可能となります。そのため、多くの事業所で採用されています。





他方、破砕処理は廃棄物中間処理において、「最も事故が多発している単位操作」でもあるという側面も持っています。


特に破砕機への「巻き込み事故」は頻発しており、プラスチック廃棄物の破砕処理においても年に数件、死亡事故を含む重篤な労働災害も発生しています。


巻き込み事故の多くは、破砕口への投入作業時に起きています。投入物に紐が絡まったりして投入物と共に破砕機へ引きずり込まれる様な故が頻発しています。


この様な事故を防ぐために、ベルトコンベアなどを設置して、作業者と破砕口の距離を離したり、紐などの異物の除去を徹底したりするなどの対策が施されてきました。


資源プラ協会なごやラボでは、破砕処理における事故事例を工学的な立場から研究し、会員の皆様の安全対策にお役立て頂くための情報提供に努めています。


また破砕機を製造されるメーカー様からのお問い合わせにも対応し、当協会で運営している資源プラ製造装置認定においても労働安全衛生対応は非常に重要な評価基準となっています。


当協会の理事会においても、事故事例は技術の専門家を中心に多角的な検証が進められ、再発防止に向けた意見の取りまとめを行っています。


先日の理事会では、破砕機の清掃や調整時に発生した巻き込み事故の事例の研究を行いました。


破砕機は、処理に伴い発生する粉塵が装置周辺に飛散したり、破砕刃に汚れが付着したりするため、定期的に清掃する必要があります。





清掃を怠れば処理能力の低下や火災などのリスクも高まりますので、適切な施設管理の一環として清掃は重要な位置を占めています。


ところが、実はこの「破砕機の清掃時」にも巻き込み事故は頻発しているのです。


労働安全衛生法では、労働安全衛生規則の107条と108条に、機械の掃除、給油、検査、修理、調整などの作業を行う際の、安全対策が述べられています。





これによれば、清掃作業を行う際には、基本的に機械の運転を停止すると定められています。


また、「機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない」と定められています。


実際の所、起動装置に錠を掛けるまでやっている所は少ないと思いますが、確実に機械を停止させ、作業者以外の者が起動装置に触れる事ができない形にする事は安全管理上非常に重要です。


また安全に作業を進めるため、機械の運転を停止した後、機械の可動部分を停止させるためのブレーキを備えておく事も重要です。


破砕機を末長く、安全に使って頂くためには、こまめに清掃をして頂く事が望ましいのですが、この清掃という作業自体に潜む“危険”を良く把握して頂き、対処して頂ければと思います。


理事会での意見交換の結果は会員の皆様へセミナーやレポート、会員ページの記事などの形で還元させて頂きますので、是非、そちらの方もチェックして頂きたいです。


我々、資源プラ協会は、リサイクルの一線で活躍されている作業者の方々が安全で衛生的な環境下で作業に従事して頂ける事を切に願っています。


ヒト無くして、資源プラの製造は不可能です。


「ヒトの輪」が「資源プラ循環の輪」を生み出す原動力となります。


安全や衛生はヒトの輪を生み出す第一歩です。


皆様の事業所でも作業の安全や衛生への積極的な取り組みをお願いしたいです。

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