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【資源プラ】どうする?行き場を失った廃プラの処理・処分

【資源プラ】どうする?行き場を失った廃プラの処理・処分

中国政府の実施した「国門利剣(ナショナルソード)」という輸入規制は、結果としてプラスチック廃棄物の“住み分け”を促す事となりました。

現在の市場取引では、プラスチック廃棄物は、「資源プラスチック(資源プラ)」「マテリアルリサイクルが可能な廃プラスチック」「マテリアルリサイクルが不可能な廃プラスチック」に大きく分けられています。

「資源プラ」と「マテリアルリサイクルが可能な廃プラスチック」はプラスチック廃棄物の処理物において品質取引形態流通性などにより区別されます。


資源プラの登場は、プラスチックリサイクル市場に大きな影響を与えます。

資源プラスチックは品質面で優れ、工業原料の基材としてバージン材市場、再生原料市場の双方で流通する事が可能です。

これにより、バージン材市場のユーザーに対しても、「品質面で優れ、コストも安く、おまけに環境に調和している素材」である事を印象づける事が可能となります。

他方、品質面で劣る廃プラについては、再生原料市場から駆逐・淘汰され、その行き場を失う事になります。

取引価格の面でも、資源プラスチックと廃プラスチックの差は今後拡大していくものと思われます。


ハッキリ言ってしまえば、現在も再生原料市場の中で、「資源プラスチック」と「廃プラスチック」の住み分けが着実かつ急速に進んでいるのです。

「品質」をテコにしてプラスチック原料市場における再生プラスチック原料の新たな立ち位置を確立し、円滑な市場取引を促していく事こそが、今、我々に求められていると思います。

ところで、この国門利剣に端を発した“プラスチック廃棄物の住み分け”という事象は大きな問題を引き起こしました。

それは「品質面で劣るプラスチック廃棄物の行き場が無くなり、今後、これを如何にして処理・処分するか?」というものです。

国門利剣の実施後、我が国から中国・香港への廃プラスチック輸出ルートがほぼ完全に断たれた事から、行き場を失うプラスチック廃棄物が激増する事は想像に難くありません。

この様な事態を鑑み、我が国の環境省は収集運搬事業者、中間処理業者、最終処分事業者に対して、処理料金の変化に関するアンケートを実施しました。


アンケートの実施は2018年8月で、国門利剣が本格実施された2018年1月から半年後の7月までの期間において、処理料金の変化が見られたかを問うものです。

収集運搬業者、最終処分業者では「値上げした」という業者は比較的少なめなのですが、中間処理業者については43.8%もの業者が「値上げした」と回答しています。

そして、その値上げの理由には、第一に「処理後物の逆有償化等」が挙げられており、国門利剣の実施により従来有償取引されていた廃プラスチックの流通性が著しく低下(逆有償化)した事が大きく影響を及ぼしたと思われます。

この結果、行き場を失った廃プラスチックが焼却処理や最終処分に殺到した事が、「焼却費用の増加」「最終処分費用の増加」という回答に繋がった訳です。

このアンケートは、国門利剣の完全実施の半年後という早い段階で実施されたものですので、まだ実施時点では影響が十分に表れていないと考えるべきです。

国門利剣が実施されて1年以上経過した現在は、より多くの中間処理業者や最終処分業者が値上げを実施していると思われます。

この様な行き場を失った廃プラスチックをどうするか?これは大変な難問です。

焼却処理や埋立処分をするにも、現在、行き場を失った廃プラスチックが処理業者へ殺到している状態で、中には極端な値上げを実施する事で事実上受け入れ拒否をしている業者も見られます。

環境省は急場しのぎの策として、自治体の焼却施設への産業廃棄物系の廃プラスチックの受け入れを“補助金をチラつかせながら”要請しています。

もはやこれは“狂気の沙汰”です。

これまで狂信的な市民団体などに押されて環境省が行ってきた行き過ぎたの許認可制度は一体何だったのか?全く理解に苦しみます。

よくある話としては、「熱回収(サーマルリカバリー)用の燃料にすればいいじゃない!」というのもありますが、そんな簡単な話ではありません。

廃プラスチックの産業用の熱エネルギー源への利用としては、製紙ボイラーやセメントキルンの燃料としての利用が知られているのですが、これも今、大変な事になっています。

下図にセメント需要とセメント製造での廃棄物使用量の推移を示します。


セメントキルンというものは実に有り難いもので、通常の焼却炉に比べ多様な廃棄物を焼却する事ができます。 従来は難処理物として知られていた廃タイヤを燃料に利用するケースが多かったのですが、近年は使用量が漸減傾向にあります。 替わりに廃プラスチックを燃料に利用する事が増加しており、量的には廃タイヤの20倍弱にもなっています。 これは廃プラスチックが廃タイヤに比べ、含まれる難燃分や灰分が少なく、熱量も大きいためであり、燃焼(エネルギー資源)として優れているためです。 しかし、セメントの需要は2013年をピークに減少傾向にあります。これは2011年の東日本大震災の復興特需が落ち着いたためであると思われます。 現在は東京オリンピック特需で持ちこたえている状態ですが、今後、セメント需要が激増する様な取引材料を見出す事はできません。 この様な状況下で行き場を失った廃プラスチックがセメント工場に殺到しても、到底消費する事はできない訳です。 事実、現在多くのセメント工場で新規の廃プラスチックの受け入れを停止しています。 同様の事が、製紙ボイラーを利用する製紙工場でも起きています。 セメント工場でも製紙工場でも、燃料としての廃プラスチック自体は今後も必要なのですが、あくまでも「燃料としての品質に優れた廃プラスチック」が欲しい訳で、持ち込まれる廃プラスチックを「品質」で選別する様になってきています。 この場合の「品質」とは、(1)焼却に必要な十分な熱量を有する事(2)炉を傷めたり、焼却時に有害物質が発生したりする可能性があるプラスチック(塩ビやウレタン)が除かれている(3)焼却に適した形状に整えられているなどの条件を満たす必要があります。 いずれにせよ、行き場の失った廃プラスチックに関しても、資源プラと同様に「品質」を整える事が出来なければ、焼却や埋立に供する事が出来なくなるという事になります。 「品質」によって行き場を失った廃プラスチックの行き場を決めていく事も、資源プラプロジェクトの一つの側面という事になります。 (本堀)