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【資源プラ】EUプラスチック戦略と資源プラスチック(会員ページより)

【資源プラ】EUプラスチック戦略と資源プラスチック

プラスチックの海洋流出による環境汚染に大きな注目が集まっていますが、これを受けプラスチックへの規制を求める声が大きくなった結果、様々な政策パッケージが導入され始めています。

特に2018年1月に欧州連合(EU)により発表された「循環経済におけるプラスチックのための欧州戦略(EUプラスチック戦略)」は、今後のプラスチック産業の在り方に大きな影響を及ぼすものです。

そこで今回は、このEUプラスチック戦略について概観し、現在我々が進めている「資源プラスチック(資源プラ)」という取り組みとの相関について考えてみたいと思います。

近年EUでは、循環型社会を構築するため、様々な施策が講じられてきました。

2011年には、資源の効率的な利用とリサイクルを進めるため、「資源効率的な欧州(A Resource-efficient Europe)」「資源効率的な欧州へのロードマップ(Roadmap to a Resource Efficient Europe)」が発表されました。

この流れを受け、2015年には「循環経済行動計画(Closing the loop-An EU action plan for the Circular Economy)」「各種廃棄物指令改正案」が発表されました。

特に各種廃棄物指令改正案については、2018年5月に欧州理事会で採択され、各種廃棄物のリサイクル目標が設定されました。

例えば、プラスチック廃棄物については、そのリサイクル率を2025年までに50%、2030年までに55%とすると設定されています。

現在の欧州におけるプラスチック廃棄物のリサイクル率は30%程度(2015年)なので、これはかなり大変な目標設定であると言えます。

そして2018年1月には今回取り上げる「循環経済におけるプラスチックのための欧州戦略(A European Strategy for Plastics in a Circular Economy)(EUプラスチック戦略)」が発表されました。


このEUプラスチック戦略では、プラスチック製品のデザインや生産においてリユース、リペア(修理)、リサイクルが可能性を導入する事で革新的なプラスチック産業を育成し、この取り組みを通じて経済の成長と雇用の創出、温室効果ガスの削減、化石燃料の輸入依存の軽減などを進めるというビジョンが示されています。

いささか“欲張り”の様な気もするのですが、政策ビジョンだからこんなもんなのでしょう。

さて、このEUプラスチック戦略の策定に関しては、公表された文書でEUのプラスチック廃棄物に対する現状認識、つまり背景というものがハッキリと記されています。

まず、現状のプラスチック産業についてですが、「世界のプラスチック生産量は世界的に増加傾向にあり、2015年には3憶2200万トンに達した。今後20年間で生産量は更に2倍に達すると予測されている」と述べられています。

そして、「欧州のプラスチック産業においては、150万人の雇用と3400億ユーロの売上が生み出されている(2015年)」と記されており、欧州のみならず世界的にプラスチック産業は拡大し、重要な位置を占め続けていく事が示唆されています。

しかし、「欧州では、2580万トン/年のプラスチック廃棄物が発生し、このうち30%がリサイクルされ、31%が埋立処分、39%が焼却処理に供されている」「欧州での再生プラスチック原料への需要は、プラスチック原料需要全体の6%程度」とも記されており、プラスチックのリサイクルは十分に進められていない事が明らかとなっています。

そして、「世界のプラスチック廃棄物をリサイクルする事により、35億バレル/年の原油に相当するエネルギーの削減に寄与する事ができる」と記されている事から、プラスチックのリサイクルは資源の有効利用に大いに資するものであると読み取る事が出来ます。

更に昨今巷の話題となっているプラスチックの海洋汚染についても、「プラスチックの海洋流出は、全世界で500~1300万トン/年、欧州で15~50万トン/年」「マイクロプラスチックの海洋流出は、欧州で7.5~30万トン/年」と記されており、深刻な状況にある事が示唆されています。


これらの背景を踏まえてEUプラスチック戦略は策定されました。

次いでEUプラスチック戦略の概要を見て参りましょう。

内容自体が非常に多岐の分野にわたっていますので、この会員ページをご覧の方に関係する部分のみを下図の様に抜き出して説明させて頂きます。



この戦略の大きな方針は4つありまして、その一つ目が「プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上」です。

再生プラスチック原料の需要の拡大を目指すもので、規制や経済的なインセンティブを適切に評価し、エコラベルやグリーン調達といった経済的な施策が講じられていく事になります。

特に注目すべき点として、2018年以降、「選別された廃プラスチックおよび再生プラスチックに関する品質基準の策定」が進められると記されています。

これはまさに「品質」という指標によってプラスチックのリサイクルを推し進めていくというもので、我々が現在進めている「資源プラスチック(資源プラ)」という取り組みと方向性が完全に一致しています。

やはり、円滑な循環物流を確保するためには、「高く、そして安定した品質」を備える事がプラスチック廃棄物のリサイクルにおいて重要なファクターとなる事が世界的に共通した認識であると言えましょう。

更に品質を保つために必要な「分別回収」と「選別」に関しても、2019年以降に新たなガイドラインを設ける旨記されています。

大きな方針の二つ目としては、「プラスチックの廃棄と投棄の抑制」が記されています。 海洋に流出するプラスチック廃棄物の削減を目標に、使い捨てプラスチックへの法的措置や漁業廃棄物への対策、マイクロプラスチックへの対策などが取り上げられています。

大きな方針の三つ目としては、「技術の革新と投資の促進」が記されており、循環経済を成立させるための技術面でのイノベーションや投資環境の整備などが取り上げられています。

大きな方針の四つ目に「国際的な取り組みの活用」が記されているのですが、これが非常に重要です。

EUで発生したプラスチック廃棄物の約半分は、海外、特にアジア地域に輸出されており、適切にリサイクルを進めるためには、国際的な協同とルール作りが必須です。

EUプラスチック戦略では、「再生可能な、あるいは再生プラスチックの品質に関する業界の信頼性を高めるための国際規格・国際基準の開発を推進」と記されており、やはり「品質」を軸とした規格や基準の策定が進められる事が伺えます。

つまり、これからの貿易を通じたプラスチックのリサイクルを推進するためには、「品質」というファクターを無視する事は出来ないのです。

更に「EUから海外へ移送されたプラスチック廃棄物がEU内と同等条件でリサイクルされる事を確保するために、再生工場に対する認証スキームの開発を推進」とも記されており、プラスチック廃棄物の輸出先で適切にリサイクルが進められる事を担保する必要があります。

したがって、優良な現地再生業者との繋がりを築き、安定なチャネルを構築する事が第一の要件となります。

いずれにせよ、EUプラスチック戦略においては、我々が進める資源プラスチックという取り組みと同様に「品質」をテコに円滑な循環経済の流れを構築する事を狙っています。

我が国でも経済産業省が中心となって、「日本版プラスチック戦略」の策定が検討されています。

恐らく今回お話しさせて頂いた内容を踏まえたものとなるでしょうが、「品質」というものがキーワードになる事は間違いないと思われます。

今後、「品質」という視点抜きでは、この世界で生き残ること自体が難しくなりそうですね。