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​お知らせ・活動報告

【特別解説】リサイクルプラスチックを輸出するときのHSコードは?

資源プラ協会では、これまで「資源プラ3フェーズ」特設ページの公開や連載ブログを通じて、プラスチックリサイクルの実務に役立つ情報発信を続けてきました。そうした中で、会員企業や関係者の皆さまから、「リサイクルプラスチックを輸出する際の一次製品のHSコードを詳しく解説してほしい」という相談が数多く寄せられています。


近年、アジア各国を中心に**HS 39.15(プラスチックのくず)**に対する輸入規制が急速に強化され、国際取引におけるHSコードの選定はこれまで以上に重要な判断要素となりました。特に、日本の使用済みプラスチックが安全かつ適正に循環するためには、「一次製品」として扱われるべき条件や根拠を正しく理解することが欠かせません。


こうした背景を踏まえ、資源プラの基準づくりにおける原点の一つとも言えるテーマ、「プラスチック一次製品のHSコード」について、当協会理事でありこの分野に精通する 時本理事 に詳しく解説していただきました。


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一次製品はペレットだけ? 二次製品は一次製品に戻っていればOK?


HSコードとは

国際貿易で使われる商品の分類番号で「Harmonized System」の略称です。

最初の6桁は世界共通で品目を細かく分類する為に使用されます。

世界各国で輸出入通関の手続きの際、不可欠な情報です。


HSコードの構成

上2桁(類 Chapter)

上4桁(項 Heading): 「類」をさらに細分化したもの。

上6桁(号 Subheading): 「号」をさらに細分化したもので、ここまでが世界共通の分類です。


*日本は6桁のHSコードに3桁の統計細分を加えた9桁の「輸出入統計品目番号」を使用しています。

 (10桁目は、NACCS用・申告時に必要な番号)


*アメリカは10桁、EUは8桁・10桁など

例:HS 3903.19-1003 スチレン重合体の一次製品(多泡性でないもの)

世界共通

     


プラスチック製品全体のHSコードは?

プラスチック及びその製品は HS39類(HS39.01~HS39.26)に分類されます。

さらに細かく商品ごとに分類してみると、

HS39.01 ~ HS39.14 一次製品(プラスチック原料など)

HS39.15        プラスチックのくず

HS39.16 ~ HS39.26 二次製品(一次製品から用途ごとに成形されたもの)



HSコードの決め方は?

商品の材質、構造、機能、用途の詳細をもとに。HS条約に定められた、「関税率表の解釈に関する通則」に従ってHSコードを決めます。



リサイクルプラスチックのHSコードは何になるのか?

一概にリサイクルプラスチックと言っても色々な形状の物があると思います。

・再生ペレット

・使用済みの二次製品を洗浄し再加工(溶解や粉砕など)したもの

・未使用の二次製品を再加工(溶解や粉砕など)したもの

・使用済みの二次製品を洗浄し圧縮したもの

・未使用の二次製品を圧縮したもの

・二次製品の未使用品 (未使用在庫品など) など.....

上記に記載しただけでもいろいろな形態のサイクルプラスチックの商品があり、どのような工程(加工・未加工)をへて最終的にどのような形状になっているのかが、HSコードを決めるのに必要な事となります。



一次製品になるリサイクルプラスチックとは(HS39.01 ~ HS39.14)

単一素材で、粒状のもの、フレーク状のもの、粉状のもの、塊(不規則な形状のものに限る):「規則正しい幾何学的形状の塊は一次製品に該当せず、板、シートなどに含まれる」に限るとあります。

 

また、物品に特性を与える為の可塑剤、安定剤、充てん料、着色料のような多の物質を含んでいても良いともあります。(輸出統計品目表・解説を抜粋)

一次製品は、プラスチック原料としての形状が上記4種類の形状をしている物品になります。


例:製造工場で作られる単一素材の粒状、フレーク状、粉状、不規則な塊は一次製品です。



二次製品になるリサイクルプラスチックとは(HS39.16 ~ HS39.26)

製造工場で作られる、板、シート、フィルムなどで、切ってないもの及び長方形・正方形に切ったことにより、そのまま使用できるものは、二次製品の扱いとなり、プラスチックの容器、ふた、袋、食卓用品(スプーンやフォークなど)などの未使用品は用途分類となり二次製品となります。

また、プリフォームの様な半製品でも、原料から作られた半形状の品物になり、二次製品の扱いとなります。


例:食卓用品、包装用品、建築用品、衣類、事務用品などプラスチック原料からの各用途向けに成形された品物の未使用品のもの。



プラスチックのくずになるリサイクルプラスチックとは(HS39.15)

二次製品を作った際に出るシート・フィルムの切れ端、型抜き後のシート、シュプールランナー、

整形不良(切れ端も含む)のフィルム圧縮品など、の未使用品。

使用済みボトル、袋などを圧縮したものなど及び、二次製品の商品で使用済みの物など。


ただし注意しなければならないのはHS39.15には除外規定があり、「関税率表の解釈に関する通則」の中の輸出統計品目表・解説3915項注釈の中に、

《この項には単一の熱可塑性材料のくずで、一次製品の形状にしたものを含まない》とあります

よってHS39.15に分類された商品でも一次製品の形状に戻されたもの(再加工)したものはHS39.15にならずに上記除外規定により一次製品HS39.01 ~ HS39.14に分類されます。




最後に


近日、東南アジア・各国においてもHSコード39.15のリサイクルプラスチックは、輸入ライセンス不許可に

なるケースが多くなっており、各国への輸出が困難になってきており、HS39.15の商品でも再加工して一次製品の形状に戻しHS39.15以外のHSコードで輸出する事が求められております。

今後は、商品の形状を一次製品の粒、フレーク(粉砕)、粉、不規則な塊の形状に加工することがリサイクルプラスチックの輸出には必須になっていくと思われます。


ただし、注意しなければいけないのは、再加工してもすべてHS39.15以外になるわけではなく、輸出統計品目表・解説39.15項にありますが、《単一の熱可塑性材料のくず又は共に混合した二種類以上の熱可塑性材料のくずは、たとえ一次形状になっていてもこの項に含まれる》(HSコード39.15)になりますので、単一原料であることが求められます。

*プラスチック以外の他の素材が混合(紙、アルミ、など)したもの含む(HSコード39.15)


消費者経由の使用済みプラスチックに関しましては、汚れや異物混入など、そのままの状態では当然使用できませんし、HSコード以前にバーゼル法の対象になりますので、まずは、洗浄で汚れを落とし、異物の除去、そしてプラスチック種類の仕分けが必要になります。 

その上で再加工して一次製品の形状に戻す必要があります。


以上のことから、リサイクルプラスチックを輸出する際のHSコードは、HS39.15(プラスチックのくず)でない事であることが今後の国際取引に重要になっていくと思われます。


注:今回の説明内容は輸出のHSコードの説明になりますので商品の詳細によって、バ-ゼル法や輸出貿易管理令等や他法令等に該当するかは、別途すべての商品確認が必要になりますのでご注意お願い致します。

   ・バーゼル法 : 有害廃棄物の越境移動を禁止し、環境汚染を防ぐ法律です。

   ・輸出貿易管理令 : 大量破壊兵器や武器の開発・製造の可能性のある商品の輸出規制の法律です。

   ・食品衛生法 : 飲食による健康被害の防止。食品、添加物、器具などに該当する法律です。

    その他にも、麻薬取締法、商標権、著作権などいろいろな法律があります。


HS39.15(プラスチックのくず)での輸出となりますと、

上記にも記載してある通り、輸出時の関係各所の確認(輸出時のライセンス獲得など)、輸入国のライセンスや輸入禁止等の確認等の必要があり、いろいろなリスク(積み戻し、現地引き取り拒否など)もある事を考慮の上、条件(日本及び輸入国)が揃えば、日本からの輸出は可能になりますが、すべての条件をクリアするのは大変に難しいかと思われます。



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